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奈良市の消化器内科クリニック。胃カメラ(経鼻内視鏡)と大腸カメラは、まえかわ医院へお任せください。


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<11月> 痩せられるお注射
 
暑かった夏もようやく過ぎ去り、涼しい朝晩が戻ってきました。夏のあいだ家にこもりっきりで、運動不足のため太ってしまったという人が多いのではないでしょうか?私もその一人です。ようやくウォーキングを再開しましたが、一度付いた肉はなかなか落ちませんね。簡単に痩せられるお薬でもあればと思いますが、実はあるんですよね。今回は痩せるお注射「マンジャロ」のお話です。
 「マンジャロ」は糖尿病の注射薬ですがインスリン注射ではなく、GIP/GLP-1受容体作動薬と呼ばれるお薬です。GIPGLP-1はもともと私たちの身体にあるホルモンですが、「マンジャロ」はその作用を増強させます。食事により血糖値が上がると小腸からGIPGLP-1が分泌されて膵臓へと運ばれます。GIPGLP-1は膵臓からのインスリン分泌を促し、インスリンの作用で血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれることで血糖値が下がります。またGIPGLP-1にはインスリン分泌促進以外にも食欲抑制や胃内容排出遅延などの作用があり、その結果として痩せる効果が得られるのです。国内第Ⅲ相試験で「マンジャロ」を1年間投与した患者群では約510kgの体重減少がみられました。糖尿病の指標となるHbA1c値は平均2.5%ほど低下しています。主な副作用としては悪心・嘔吐・下痢・便秘・腹痛・動悸などがあり、頻度は少ないですが低血糖、急性膵炎、胆管炎などの重篤な副作用も報告されています。しかし残念なことに「マンジャロ」は糖尿病の患者さんにしか使用することはできません。「マンジャロ」の他に「ウゴービ」という肥満症治療に用いるGLP-1受容体作動薬もありますが、こちらはBMI35の高度肥満、またはBMI27で糖尿病や高血圧などを合併している場合のみで、しかも肥満症治療に関連する学会(日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本循環器学会)の専門医が常勤している教育研修施設でしか投与は受けられないんですよね。簡単に痩せられるという上手い話はなかなかないようです・・・まっとうに運動と食事療法を頑張りましょう
。 


<10月> 最高の医療ドラマ
 
TBS系の医療ドラマ、日曜劇場「ブラックペアン」が面白すぎました。原作は海堂尊の小説「ブラックペアン1988」「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」の三部作。2018年にシーズン1、2024年にシーズン2が始まり、915日ついに最終回を迎えました。シーズン12ともに「嵐」の二宮和也さんが主役を演じていますが、その演技力の高さ、各キャラクターの魅力、グイグイと引き込まれるストーリーで大人気となりました。シーズン1の主人公「渡海征司郎」は東城大学医学部心臓外科のヒラ医局員で「オペ室の悪魔」と呼ばれる孤高の天才外科医。手術が大ピンチの局面、患者の命が風前の灯になった時、いつも彼はオペ室に現れます。そして執刀医の耳元でこう囁きます。「お前のミス、一千万で俺がもみ消してやるよ・・・」そしてどんな状況からも、必ず患者の命を救っていくのです。しかし彼の真の目的は心臓外科の教授「佐伯清剛」への復讐でした。佐伯教授が過去に行った手術で患者の心臓に残したペアンという医療器具。渡海の父親「渡海一郎」はその医療ミスをかぶって死んでいったのです。渡海の悲願ともいえる佐伯教授への復讐は果たして成就するのか?最終回にすべての真実が明らかとなります。「ブラックペアン」の本当の意味を知った時には震えましたね。小田和正さんのエンディング曲「この道を」が心に滲みました・・・新たに始まったシーズン2の主人公「天城雪彦」は「渡海征司郎」と瓜二つの顔をしながらも、真逆と言える性格の持ち主。世界で唯一「ダイレクト・アナストモーシス」という術式を扱える天才であり、彼の手術を受けるには全財産の半分を差し出すとともに「シャンス・サンプル」という二択の賭けに勝たなくてはなりません。渡海とはまったく異なるタイプでありながら、彼もまた悪魔のような医者でした。しかし「渡海征司郎」と「天城雪彦」の2人を完璧に演じ分けた二宮さんの演技力は本当に天才的だと思います。シーズン2については多くを書きませんが、ファンの間ではクールな性格の「渡海先生派」とお茶目な性格の「天城先生派」とで人気が二分しているようです。私は天城先生派ですが、ストーリーはシーズン1が面白いと思います。シーズン1はアマプラでも見れますので、ぜひ。


<9月> 熱中症予防には塩分を?
 
台風一過、残暑がまだまだ厳しそうな今日この頃です。熱中症には十分に気を付ける必要がありますが、熱中症の予防でもっとも大切なのは暑い所に行かないことです。次に水分をしっかり摂ること、そしてよく言われるのが塩分の補給です。ドラッグストアの棚にはスポーツドリンクやOS-1、塩キャンディやタブレットなど塩分補給グッズがズラリと並んでいます。しかし塩分補給はどの程度必要なのでしょうか?
 塩分が不足すると血液中のナトリウム濃度が低下して、「低ナトリウム血症」を発症します。低ナトリウム血症の初期には軽い疲労感がみられはじめ、頭痛や吐き気が出現し、重症化するとけいれんを起こしたり昏睡状態に陥いることもあります。炎天下でスポーツや作業をして大量に汗をかいた場合、水やお茶だけを補給していると低ナトリウム血症となるので、塩分が補給できるスポーツドリンクやOS-1が必須です。また下痢や嘔吐が続いたり、食事がしっかり摂れていない場合にも低ナトリウム血症となるので、水分と塩分の両方を補給する必要があります。しかし夏に血液検査をしてみると、ナトリウム値がけっこう高目の方も多いんですよね。夏でも塩分を過剰に摂取していると逆に「高ナトリウム血症」となります。高ナトリウム血症では口渇がみられたり、血圧が上昇、心不全や腎不全が進行したり、重症化すると錯乱や昏睡に至ることもあります。夏でもあまり汗をかいていない場合、特にご高齢の方では、むやみやたらと塩分を摂取するのは控えた方が良いでしょう。もっとも確実なのは、血液検査でナトリウムとクロールの数値を調べることです。そうすれば自分の塩分(塩化ナトリウム:NaCl)が不足しているのか過剰なのかが分かります。もし気になったら一度血液検査を受けてみましょう。



<8月> ダイキンのエアコン
 
暑くて一日中エアコンを入れっぱなしの今日この頃です。もはやエアコンがないと生きていけない時代になってしまいましたね・・・当院の診察室では20年以上前からナショナルの業務用エアコンが主力として頑張っていたのですが、さすがに効きが落ちてきたため先日ダイキン(DAIKIN)の業務用エアコンに付け替えを行いました。機種はECO ZEAS(エコジアス)」、200V動力電源、4馬力タイプです。「FIVE STAR ZEAS」というさらに電費の良い機種もあったのですが、室外機が縦の二段重ねであまりにも巨大なために断念しました。しかしこのECO ZEAS(エコジアス)、従来の3馬力に比べると単純計算で出力が33%増しとなって本当によく効きます。他の部屋のエアコンを切っても診察室中の冷房がこれ1台で済んでしまうくらいのパワーです。お値段も張りましたが、これから暑い夏には大いに活躍してくれると思います。
 ところでみなさんは「ダイキン(DAIKIN)」というメーカーをご存じでしょうか?ダイキンは国内唯一の空調専門メーカーで、業務用エアコンのシェアが国内のみならず世界中で1位というすごいメーカーなんです。一方で家庭用エアコンの有名どころといえば、パナソニックの「エオリア」、シャープの「プラズマクラスター」、東芝の「大清快」、三菱電機の「霧ヶ峰」、日立の「白くまくん」などがありますが、2021年から家庭用エアコンのシェアでもトップに躍り出てきたのがこのダイキンです。人気の理由としては作りがしっかりしている、余計な機能がなくてシンプル、サービス部門の対応も他メーカーとは比べ物にならないほど良いなどで、当院でも初めて導入しましたが今のところ非常に満足しています。リビングに付いているパナソニック製のエアコンも10年以上になっていますので、今度はダイキンの家庭用エアコンを導入してみようかと思っています。それではみなさんも熱中症には気を付けて、暑い夏を乗り切りましょう!


<7月> 内視鏡検査のダブルチェックとは
 
7月に入り奈良市の特定健診および各種ガン検診が始まりましたが、当院では今年度より胃がん個別検診(胃カメラ)を辞退することになりました。今回はその理由についてお話します。
 昨年までとの大きな違いは、胃がん個別検診にダブルチェックが導入されたことです。肺がん検診のレントゲン写真、胃がんバリウム検診のレントゲン写真では医師2名によるダブルチェックが行われています。胃カメラでも写真を撮って画像を残していますが、今年度からその画像データを所定の内視鏡専門医に送ってチェックを受けることが義務付けられたのです。しかしこれには本当に意味があるのでしょうか?胃カメラの写真撮影にはある程度のパターンがありますが、レントゲンやCT、バリウム検査のように常に同じパターンの画像だけを撮っているわけではありません。胃カメラはリアルタイムの動画の中で病変を見つけ出し、病変が分かりやすく見えるように距離や角度、色調を変えて写真撮影することが要求されます。何よりも大切なのが病変を見つけ出す「鷹の眼」です。胃カメラの上手い下手というのはここにかかっていると言っても過言ではありません。研修医が胃カメラを行う際には必ず指導医が横に付き、一緒に画面を見ながら病変の見逃しがないようにしています。これが本来の胃カメラのダブルチェックです。動画の中で病変を見逃していれば当然まともな写真が残りません。後から写真だけいくら見直したところで、病変の見落としを防ぐことはできないのです。しかし今回の胃がん個別検診は後から写真を見直す「形だけのダブルチェック」です。それを多大な手間ヒマとコストをかけてやることに疑問を感じました。よって当院では胃がん個別検診は行わない方針となりました。胃カメラは通常の保険診療内で行いますので、どうかよろしくお願いいたします。



<6月> 井上尚弥がダウン!?
 
先月の6日に東京ドームでボクシング・スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥が、ルイス・ネリを相手にタイトル防衛戦を行いました。東京ドームでのボクシングイベントは34年ぶりの快挙です。ネリは元2階級制覇王者で、計量オーバーや薬物違反を繰り返し「悪童」の異名を付けられているメキシカンボクサーです。今回の「悪童」退治、会場を埋め尽くす43千人の大観衆を前に入場する井上の動きはややぎこちなく、表情もどこか硬い感じがします。一抹の不安を感じさせながら、試合開始のゴングが鳴りました。
 
1Rの開始早々でした。井上が右フックのモーションに入った瞬間にネリの左フックにアゴを撃ち抜かれ、井上は半回転しながらマットに倒れました。会場の43千人のファンが凍り付きました。それはまさしく悪夢のような光景でした。身体を起こし片膝をついたまま、冷静にカウント8まで待って立ち上がる井上。次に倒されるとさすがの井上でも立ち上がるのは難しいでしょう。そこから襲い掛かるネリの暴風のようなパンチを井上はブロックやスウェーなどを駆使してことごとく躱し、さらにはカウンターを合わせて相手の勢いを殺します。1R終了のゴングが鳴った時には思わず安堵のため息がもれました。しかし2Rが始まるともういつもの井上でした。お前のパンチは見切った!と言わんばかりにネリのパンチは空を切り、逆に井上が左ジャブのカウンターで早々とダウンを奪い返します。5Rに左フックで2度目のダウンを奪うと、6Rに右ストレートのダブルでネリをTKOしてしまいました。終わってみればモンスターの圧勝でしたが、今回は井上尚弥の初ダウンとそこからのリカバリーという本当に見ごたえのある試合だったと思います。これまで井上はプロ・アマの公式試合だけでなく、スパーリングでもダウン経験がないとされていました。しかし実はスパーリングで一度だけダウンさせられたことがあるんですよね。井上が高校2年の春ごろ、父の真吾トレーナーにボディーブローで悶絶KOされたとのことです。恐るべし父親。


<5月> 紫色の点々・・・それ紫斑かも
 いよいよGWですね。さて今回は臨床でたまにみかける「紫斑(しはん)」の話です。紫斑とは皮膚に現れる赤紫色~暗褐色の斑点で、場所によっては青く見えることもあります。紫斑は皮下で出血して皮膚の上からそれが透けて見えている状態であり、健常な状態でもどこかに強くぶつけたり、長時間一部が圧迫されたときなどには紫斑が現れます。紫斑はガラス板などで圧迫しても消えないのが特徴です。注意すべき紫斑は、体を強くぶつけたなどのはっきりとした理由がないのに紫斑ができる、紫斑が広い範囲に現れる、一度消えてもすぐに次の紫斑が現れくり返すなどの状態です。これらの場合、何らかの原因によって出血しやすくなってしまっている「紫斑病(しはんびょう)」かもしれません。

 紫斑病の原因は様々ですが、大別すると①血小板の数や機能に異常がある場合 ②凝固因子といわれる止血に必要なタンパクが低下した場合 ③血管が弱くなって血液が漏れてしまう場合の3つに分けられます。①の代表は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)です。他にも溶血性尿毒症症候群(HUS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、急性白血病、本態性血小板症(ET)、再生不良性貧血などが挙げられます。②は遺伝性のものが多く、血友病がその代表です。③の代表はアレルギー性紫斑病(IgA血管炎/ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)で、小児の紫斑病の中では一番多くみられるものです。他にも血管炎を起こす疾患(ANCA関連血管炎など)が原因として挙げられます。高齢者では加齢によって血管がもろくなる老人性紫斑が多く、小児ではウイルス感染によって起こることもあります。紫斑の中には体質的なもので特に心配がないこともありますが、重篤な病気が原因となることもあります。特に粘膜出血(口腔内出血や鼻出血)や血尿・血便などを伴う場合には、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。それでは、良いゴールデンウィークを。



<4月> 鳥山明先生のご冥福をお祈りいたします
 「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」など、日本を代表する少年漫画の第一人者として知られる漫画家の鳥山明さんが31日に亡くなりました。死因は急性硬膜下血腫、68歳でした。325日発売の週刊少年ジャンプの巻末ページには、連載中の漫画家20人による鳥山明さんへの追悼コメントが寄せられました。世界発行部数が5億部を突破して発行部数ギネス世界記録を更新した「ONE PIECE」の作者、尾田栄一郎さんも「今頃頭に輪っかをつけて漫画家大変だねって、他人事の様にプラモ作ってそう。敬礼」とコメントしています。あの世でも楽しそうにやっている鳥山明さんの姿が目に浮かぶようですね。X(ツイッター)にも鳥山さんの功績をたたえる投稿が相次ぎ、海外からも非常に多くのコメントが寄せられました。手塚治虫以来ともいわれる漫画界のレジェンドの偉大さが改めて浮き彫りになったと思います。

 私も子供時代は「Dr.スランプ」をTVで見て育ち、中学生の頃にはジャンプで連載中の「ドラゴンボール」を追っかけている少年でした。月曜発売のジャンプがだいたい日曜日には売られていて、本屋によっては土曜日に入手可能なところがあって、わざわざそこまで買いに行っていました。ついには金曜日に売っている本屋を見つけたりして、みんなが一刻も早く次週のジャンプを読もうと競い合う、そんな時代でした。あの頃は「ドラゴンボール」の他にも「キャプテン翼」「北斗の拳」などの名作がリアルタイムで連載されていて、週刊少年ジャンプが本当にすごかったです。あれから月日は流れ、「ドラゴンボール」は”とよたろう”氏による「ドラゴンボール超」として今もVジャンプで連載中です。原作者である鳥山明先生は天国へと旅立ちましたが、「ドラゴンボール」はこれからもずっと続いていくことでしょう・・・

<3月> アルツハイマー型認知症
 少子高齢化が進む日本ですが、高齢化で大きな問題となってくるのが認知症です。現在の日本では約460万人(65歳以上の高齢者の約15%)が認知症を患っているとされています。今回は認知症の代表とも言えるアルツハイマー型認知症について書きたいと思います。
 認知症にはアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがありますが、もっとも多いのがアルツハイマー型で、認知症全体の約6割を占めます。アルツハイマーでは脳にアミロイドβとタウと呼ばれるたんぱく質がたまり、脳の神経細胞が障害され数が減少していきます。原因は遺伝的な素因と生活習慣などの複合的なものが考えられています。アルツハイマーでは脳の側頭葉と呼ばれる部分、特に「海馬(かいば)」が萎縮しますが、中でも「海馬傍回」という部分の萎縮が最も早く起こります。これを見るのに有用なのが「VSRAD」というMRIを用いたシステムで、海馬傍回の萎縮の程度をZ-スコアで表します。健常者ではZスコアが1.0以下で、数値が2.0を超えると9割以上の確率でアルツハイマーの疑いがあります。治療法ですが、認知症の進行を遅らせるためにコリンエステラーゼ阻害薬(アリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ)や、NMDA受容体拮抗薬(メマリー)が主に用いられます。また、昨年の12月にはまったく新しいタイプの治療薬「レカネマブ(レケンビ)」が発売されました。これは人工的な抗体を脳内のアミロイドβに結合して取り除くというもので、臨床試験で早期アルツハイマーの18か月後の臨床症状の悪化を27%抑制したとのことです。2週間に1回の点滴が必要で、使用期間は原則1年半です。1回につき薬価が約11万円(体重50kgの場合)、年間にすると260万円超とかなり高額な薬です。頭痛や脳浮腫、脳出血といった副作用もあり、専門家の元での使用が必要です。新しい機序や副作用のリスク、薬価を考えると思ったほどの効果ではないような気もしますが、これからデータが集まるとさらに良い結果が出る可能性もあります。今後、より安全でより効果の高い治療薬の開発が待たれます



<2月> 波乱の年明け
 今年は波乱の年明けとなりました。元日に石川県で起きたマグニチュード7.6の大地震は能登半島に大きな傷跡を残し、少なくとも232名以上の命が失われました。今現在も、避難所生活をしている方が大勢いるかと思うと胸が痛みます。今回の震災で被害を受けられた方にお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。

 一方で、私の身の回りでも大きなことがありました。元日に父が倒れ、救急車で病院へ運ばれたのです。点滴を受けてその日はいったん帰宅したものの、翌日には劇症型心筋炎でICUに入院。あれよあれよという間に容体が悪化し、5日の夜に帰らぬ人となったのです。救いだったのは気管挿管をしなかったおかげで、最後の日までみんなと話をすることができたことです。ミカンが食べたいと言って、ICUの看護師さんに目をつぶってもらい少しだけ食べさせることもできました。その日の深夜に病院から電話があり、私が着いた時にはすでに心肺停止の状態でした・・・それからは通夜に葬式と目の回るような忙しさで、気が付くといつのまにか正月が終わっていました。やることがあまりにも多すぎて、ゆっくりと悲しむ暇さえなかったのはかえって救いだったのかもしれません。落ち込んで体調を崩していた母も少しずつ元気を取り戻し、先日は父が行くはずだったクラシックのコンサートに母と私の2人で行ってきました。NHK交響楽団による、モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」、ベートーヴェンの「交響曲第3番作品55 英雄」。父は生前、読書や囲碁、絵画やクラシック鑑賞が趣味で、なかなかに文化的な人でした。私はふだんあまりクラシックには縁がないのですが、今回のベートーヴェン「英雄」の第2楽章「葬送行進曲」を聴いた時には、葬列が厳粛に進み幻影のように消えていく様子が父の姿に重なって、胸に迫りくるものがありました・・・今年はこれ以上、悪いことや哀しいことが起こらないようにと願うばかりです。



<1月> 井上尚弥、2階級で4団体制覇!
 謹賀新年、今年1年のみなさまのご健康をお祈り申し上げます。
 昨年の1226日に有明アリーナで井上尚弥vsタパレスのボクシング スーパーバンタム級 4団体統一戦が行われました。タパレスはサウスポーで、両手のガードを高く上げるスタイルと、半身のL字ガードスタイルを使い分けます。序盤からお互いにクリーンヒットが少なく、高度なディフェンスの応酬が続きます。たまに井上のジャブやボディーがヒットしても、タパレスは効いている様子をみせません。逆にタパレスが踏み込んできて、井上が被弾するシーンも何度かみられました。打ち合いの激しさが増してきた4R、井上が左フックをヒットさせるとタパレスの顔面が跳ね上がります。ロープ際に追い詰めた井上は左右のラッシュを浴びせ、タパレスはたまらずリングに両手をつきました。立ち上がると同時にゴングが鳴ります。5R、タパレスはダウンのダメージを引きずらず、反撃を開始します。試合は再び膠着状態に入りました。これは判定になるかと思い始めた10R。タパレスのガードの隙間をこじ開けるように、井上のワンツーが顔面を打ち抜きます。タパレスはロープまで飛ばされ、両膝から崩れ落ちると、もはや立ち上がることはできませんでした・・・試合後にタパレスの顔は傷だらけで、井上の顔がキレイなことに驚かされました。かなり拮抗した試合に見えましたが、実際には大きな差があったようです。これで井上はバンタムとスーパーバンタムの2階級で4団体統一を果たしたことになります。これはクロフォードに次いで史上2人目の快挙です。今後しばらくはスーパーバンタム王座の防衛戦になると思いますが、再来年にはフェザー級に上げて、そこでも4団体統一を狙うでしょう。3階級で4団体統一というのは前人未踏の境地です。しかしそれを可能であると思わせてくれるのが、日本ボクシング史上最高傑作であるモンスター井上なので
す。

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